フランスの偉大なる振付師モーリス・ベジャール・バレエ団「ボレロ」












モーリス・ベジャール追悼特別公演に
行ってまいりました。
場所は上野の東京文化会館。

本来コンサートの類は土日(休みの日)に行くようにしているのですが
今回、見たい種目は平日しか行なわれなく
会社の方々に申し訳ない気持ちをひきずりつつ、
定時であがり行ってきた貴重なコンサートです。
そうまでして観ておきたかったのです。

何を?

モーリス・ベジャールの「ボレロ」を、です。

モーリス・ベジャール=フランスの天才的振付師であり、
残念ながら2007年11月にお亡くなりになりました。

詳しくは「モーリス・ベジャール ウィキペディア」で検索いただくとして、

実は、お恥ずかしいながら、
彼のバレエを観たのは今回が初めて。

彼の生前からファンだった方、長年のバレエファンの方々には
よく知りもしないでブログに書くなんて
お恥ずかしいというか、すみません、という感じ。
でも、これでひとつバレエへの扉が出来たと思って
どうぞ温かく受け入れてください。

そしてバレエをまだよく知らないという方のために
補足説明を。

モーリス・ベジャールのバレエはモダンバレエ、
女性がチュチュなどを着て踊る「白鳥の湖」などの
いわゆるクラシックバレエとは異なります。
男性は大体上半身裸で下はタイツ(というか今で言うレギンス?)
女性はレオタード着用というのが殆ど。
無駄な装飾はなく全て人間の身体が表現する世界です。

クラシックバレエのように感動的な物語があるわけではなく
「音楽そのもの」「生きるとは?」「死とは?」「愛とは?」
といった、抽象的、けれども人間の根底にある重要なものを
身体で表現します。
だからこそ胸を打ちます!
その世界に入り込めさえすれば。

今回の公演では特別に、メニューになかった種目が追加され、
それは男性ダンサーが1人で踊るものだったのですが
終わった時には、私も涙腺がゆるんでしまいまして、
周囲からもすすり泣きが聞こえてきて
「あぁ、みんなも感じているんだな。」
「1人の肉体が大勢の人の心を打つって凄いことだな。」
と、感慨深いものがありました。

今回、モーリス・ベジャールのバレエを観ていて思ったのが

「植物のようだ。」でした。

何を唐突に言いだすんだ、と思うことなかれ、
よくテレビなどでやっている
植物が育っていく過程を凄い早送りで見せる映像がありますよね。
茎が伸びて、つぼみが付いて、花が咲くまでの過程とか。
それに似ているんです。
やっぱり生命を表現するという点で、通じているんでしょうか。

そして今回、私が楽しみにしていた大トリの「ボレロ」!
モーリス・ラヴェル作曲の「ボレロ」に
モーリス・ベジャールが振付けたもので、
(あれ?今気付きましたが、お名前が一緒)
赤い大きな円卓の上で
メインダンサー(今回は女性)が、
始めは静かに動きも抑えつつ踊っていきます。
それを、周りの大勢の男性ダンサー陣が、
始めは傍観しているのですが、徐々に引き寄せられ、
ひきずられるように踊りに参加していきます。
そしてメインダンサーの動きも徐々に大きく煽るようになっていき
膨大なパワーとなり、最後はひとつになって終わる。
そういった作品です。

本当すんばらしかったです!
ずっと目が釘付けで、終わったあと気付いたのですが
自分の手も、ずっと変な形で硬直していました。w
猫が興奮している時に瞳孔が開いて目がまん丸になるじゃないですか。
多分あんな感じになっていたのだと思います。

メインダンサーの迫力たるや
どうしたらあんなパワーが出るんだ?と思うほど。
「ボレロ」の音楽と、ベジャールの振り付けの素晴らしい融合!
あの赤い円卓の上で躍るという発想も
よくも思いついたものだと感心せざるを得ず
モーリス・ベジャールは肩書き上では「振付師」となっているけれども
それも含めた、いえ、卓越した「芸術家」だったのですよね。

さて、「追悼特別公演」の第3弾、4弾、5弾が
今年の冬から来年の始め辺りにかけて行われるそうです。
最後の5弾には再度「ボレロ」が、
しかもあの!彼女が舞台に立つようです…。

(あえて名前をふせてます。チケット倍率上がると困っちゃうのでw。
 でも上記の画像は、実は次の第3・4・5弾のチラシなので
 よく見れば、分かる人には分かっちゃうかしら。)

これは…絶対…行きたいところ。