
ブリジット・フォンテーヌ
「ラジオのように」
フレンチミュージックに興味がある方なら
その名前を一度は耳にしたことがある
ブリジット・フォンテーヌ(Brigitte Fontaine)ですが
フレンチミュージックだからと言って
フレンチポップを想像していると痛い目をみます。
紹介しておいてナンですが、
もし「こういった音楽、好きですか?」と聞かれたら
正直申し上げて私の答えは「ノン。」
摩訶不思議で宗教的で実験的で難解で
そして透明であり詩的。
メロディアスでもなく歌というより語りで
宙に浮かんで消える無機質な物体のようなもの。
残念ながら私は、宇宙と通じたり
神と通じるなどした経験が皆無なので分からないですが
もしそういった経験がある方だと
このブリジット・フォンテーヌの音楽に
なにかしらの衝撃を受けるのかもしれません。
大絶賛される方もいらっしゃるので
大衝撃を受けるか、「?」になるかどちらかかと。
以下、当アルバム中では最もメロディがあり
最も有名な「ラジオのように」
ちなみに戸川純もこの曲をカバーしていますね。
参考までに「ラジオのように」の歌詞を一部ご紹介します。
(長いので後半部分のみとさせていただきます。)
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この瞬間に、何千匹もの猫が路上で轢かれています。
この瞬間に、アル中の医者が若い娘の体の上で
「まさか死ぬんじゃないだろうな、このあばずれめは」と罵っています。
この瞬間に、五人の老婆が公園で
「今は20分前なのか5分前なのか?」と質問し始めています。
この瞬間に、大勢の人々が人生は恐ろしいと思って泣いています。
この瞬間に、二人の警官が救急車に乗り込んで、
頭を負傷した若い男を川に放り投げています。
この瞬間に、一人のスペイン人が仕事を見つかったことを喜んでいます。
世界は寒い
誰もがそれに気づき始めている
そして何処かで火事が起こる
寒すぎるから
翻訳家さん、翻訳して
でも怖がらないで
それが何だか分かっている
それはラジオ
そこでは何も起こらない
重要なものなんて何もない
何でもない
何でもなかった
ただ物音がしているだけ
ただの音楽
ただの言葉
ほんのちょっとした物音
ラジオで言っているようなもの